Kirtan with Jai Uttal
ジャイ・ウタールのキルタン NYC 2009年10月
キルタンとは? What is Kirtan?
サンスクリット語で“歌う”という意味のキルタンは音楽と共にサンスクリット語のマントラをチャント(詠唱)する、古い歴史を持つバクティヨガの練習です。マントラは私たちの存在全てのレベルにおいてパワフルな癒しの効果を持つ音のバイブレーションを運びます。
1920年代にあるヨギの自伝の筆者である、パラマハンサ・ヨガナンダがニューヨークのカーネギーホールで3000人と共にチャントし、キルタンを初めてアメリカに伝えました。1960年代には広がっていき、近年、キルタンはアメリカの何百ものヨガスタジオで行われ、参加型のライブミュージックとして人気がでました。
キルタンをチャントすることは日常生活の関心事からあなたを解放し、思考の変化を助ける、努力のいらない瞑想のようなものです。ストレスの解放、精神面のリラクゼーション、内なる平和と平穏をつくり出し、喜びと至福を育むことにすばらしい効果を発揮します。シンプルなマントラを幾度もいくども速く繰り返すキルタンは人々にとって、マインドの日々のおしゃべりから何かしらの自由を経験するための簡単な方法です。
Kirtan with Krishna Das
キルタン with クリシャナ・ダス NYC 2006年11月
瞑想は多くの人にとって容易ではありません。そしてそこに古代の参加型の“音楽経験” “musical experience”であるキルタンが他の方法を指し示します。マインドを精神的にくつろがせようという努力無く、キルタンは私たちを努力いらずで、くつろいだ場所へ、静寂へと運ぶことができます。
キルタンは芸術的な到達や完成を目指すというよりも、マインドの瞑想的な、または忘我の状態に至るためのものです。バーヴァ Bhava (感情を洞察的に見つめる)に満ちた状態、内側からわき上がってくる、神聖なエネルギーに満ちた状態、フィーリング、ムードとつながるための方法です。
世界最古の聖なる音楽の伝統であるキルタン、呼びかけと応唱のチャント様式はインドから来ました。古代サンスクリット語のマントラを使い、キルタンはマインドを落ち着かせるために貢献し、障害物を取り除き、私たちの存在の中心へと私たちを戻してくれる聖なるエネルギーに呼びかけます。
Krishna Das
Kirtan & Chanting WS at YOGA SPOT 2007年6月
クリシュナ・ダス
キルタン & チャンティング・ワークショップ
@ヨガスポット
インドではスピリチュアルな行為は神に捧げる歌を含めて、元々王や上層階級のための特権でした。しかし15世紀のバクティ運動は、全ては平等であり、各人が神に語りかけることができると信じ、そのような考え方に挑戦しました。自己の中で、そして仲間である探求者の一団のなかで忘我的な合一の状態に達するために、一般大衆はシンプルな歌を教えられました。それはカースト制度を覆すものであるという理由もあり、バクティヨガにルーツを持つこの運動は熱狂的な支持を得ました。
私がキルタンについて興味を引かれることの一つに、私たちの意識や脳の状態に何が起きるかという現象学があります。キルタンを歌う時、あなたが全身全霊を込めて練習すると、それについて何も知らなくても、最後には恍惚を感じるだけでなく、終えた後にも静寂の感覚を感じることができるでしょう。それらの変化は行為の間に脳の中で起こります。
マントラはマインドをくつろがせ、音楽はハートを自由にします。キルタンの目的は意識的な構造の変化、雨の雫が大海へとけ込むように、歌い手を歌の中へ消滅させるよう導くことです。音楽家と群衆は歌そのものが沈黙の空に消えるまで、知性の雲の中で合体し、一つになります。
キルタンはバイブレーションを吸収、同化し、スピリットに火をつける
キルタンは音楽そのものを超え、より深いバイブレーションの経験へと導きます。私たちは皆、様々な周波数で共鳴しています。そしてそれらの周波数は私たちの思考や言動により変化します。
ですから私たちが皆同じこと、つまり同じリズムで動き、呼吸し、チャントするとき、私たちのバイブレーションは同調を始め、そしてその結果生まれる経験はとてもパワフルです。なぜならバイブレーションはより強いバイブレーションに同調するからです。
もしあなたが本当に惨めでしょうがない日を過ごしていても、チャンティングの間、その気持ちを持ち続けることは難しいでしょう。チャンティングに参加することなく、ただ部屋にいるだけだとしても変化を感じるでしょう。エネルギーが、私たちの中にあるスピリットを活性化させはじめます。
ハート(こころ)であってアート(技巧)ではありません
キルタンには音楽を含みますが、キルタンの技巧の基礎をなすチャントは実のところ音楽的な能力や練習ではありません。それはハートについてのものです。年齢や文化的背景に関係なく、誰でも参加できます。この音楽の目的は私たちを頭から追い出し、ハートへ向かわせることです。
通常、歌は一曲20〜30分続き、歌と歌の間に数瞬の沈黙をはさみます。それにより、マントラが完全にしみ込みます。より長い歌はより深い経験という効果を与えます。シンプルな繰り返しの歌詞は言葉についてあまり考える必要がありません(結局、これはチャントなのです!)。
実際、私たち東洋人の多くにとって古代サンスクリット語の歌詞は親しみがないために、それらの言葉がマインドの絶え間ないおしゃべりから、いくらか楽に連れ出してくれるのです。古代のチャントのパワフルな癒しと構造を変化させるエネルギーは私たちの中にある“永遠の存在”へと私たちを再接続してくれます。キルタンの全てのマントラ、メロディー、そして楽器は、私たちを瞑想の状態へ導くようデザインされています。
キルタンはマインドをくつろがせるよう助け、そしてマインドがくつろぐと、常に私たちを取り巻く神秘的な事柄、聖なる経験に気づくことができるようになります。歌と歌との間の沈黙において、また歌が終わったとき、あなたは何かを感じることができるでしょう。そしてその“何か”とはあなたです。その人の自己を経験することに勝るすばらしい経験はありません。
そのバイブレーションは常にあなたの中にあり、バイブレーションがあなたなのです。それこそがあらゆるチャンティングの経験の美点です。少しの努力で、もしくは全く苦労知らずで、常に私たちの中にあるひらめき、癒し、エネルギー、そして平和のバイブレーションを経験し、楽しむことができるのです。
Hari Bol!
OMkari